心身のバランス 4
数時間後、少量の水をのんだのですが、やはり吐いてしまいました。
きょうは一切、のみくいはしまいときめました。
・・・その日、以前お世話になった医師から健康状態をたずねる電話がかかってくるまで、わたしは不快の原因がわからなかったのです。
とりあえず、けさの嘔吐について報告しましたが、なぜきょうにかぎって担当医から電話があったのかが不思議でした。
「きょうはあなたが心臓発作を起こしてからちょうど1年目です」
・・・と医師はいいました。
「ご存じでしょう?痛みの記念日なんですよ」
・・・うっかりしていました。
この50年間、ある症状が起きた日と同じ日付の日に再発するというケースに驚かされたことが何度もありました。
わたし自身に起こったのはそれがはじめてでしたが、そんな患者は数えきれないほど診てきました。
なぜとつぜん症状がでたのかがわからないという患者に、カルテをしらべたわたしはよく「きょうは記念日だよ」といったものでした。
そんなとき、患者はこういいます。
「そうか。すっかり忘れていました」
・・・病気の記念日はよかれあしかれ、過ぎ去った苦痛の記憶と最初の発病からこんにちまでの生活のあれこれを思いださせてくれます。